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No.523「生暖かい塩水」

No.523[生暖かい塩水] 「梅雨の晴れ間…って言うけどね…」
状況は夏ではないか?
梅雨入りが発表されてから"真に梅雨!"と言えた日が何日あったか?
晴れてみたり、湿度だけやたら高かったり…
こんだけ中途半端なら、バケツをひっくり返す位に、一度ドバっときて頂いた方がなんぼかマシとゆーモノだ…
"ばちゃばちゃ"
「…」
"ばちゃばちゃ"
「…」
お元気なこって…
「ほらほら、お水が気持ちいいよ~♪」
「潮干狩りの季節は既に過ぎている」
「別に貝を採りに来た訳じゃないよ?」
そうとも、そもそも今日のお出かけの目的…いや、俺が強制的に連れ出された理由は"お買い物したいの~♪"とゆー、このお方の一言であって…
でも、いざ出かけてみたら、ご本人目的のモノは購入出来ずで…
「なんでこんなトコにいるんだろう?」
何故かバスに乗ってこんなトコに…特に行き先を決めていた訳ではなく、ふと思い出したTVのニュースがここを取り上げていたので、行ってみようってコトになって…
それが潮干狩りであり、取り上げられていた時には家族連れでごった返してた映像が流れていたけど、今はこのように他の人もおらず、遠くのベンチで日光浴している方々とか、釣りをされている方々がチラホラ…
「静かでいいけどねぇ…」
"ばちゃばちゃ"
「…」
"ばちゃばちゃ"
「…」
ほんに、お元気なこって…
「そんなにスカート広げてると中が見えるぞ?」
実際見えちゃってるんですが…
「え?大丈夫、大丈夫、水着だから♪」
って、わざわざお見せにならんでもよろしいっ!
「そーですか、そーですか…」
半分呆れつつ、砂浜に腰を下ろし、意地の悪い程の日光を全身に…
「は?」
何か引っかかった…
「もしもし?」
「はいはい?」
「本日はお買い物だったのですよね?」
「うん、そうだったですよ?」
「で、目的のモノは無かったと…」
「うんうん」
「水着で買い物?」
「たまたま♪」
いや、それ絶対おかしいから…
デパートの中を動き回るのに加え、この炎天下、右へ左へと移動させられつつ、最後は"なかったー♪"で終わり…
そもそも何を探してたのかよく判らない、行く先々、店の種類も違ってた気もするが…単に眺めてるだけだろうと、気にしないでいたんだが…
実は買い物がついでで、ご本人の目的はこっちだったんじゃ?
でも、ここへ行ってみようと言ったのは、多分自分自身だ…
「山に行ってたら、どうなったんだろうなぁ…」
「あ、山も涼しくて良かったかもね」
「水着で?」
「登山靴持ってるよ?」
俺の脇にある、このお方の大きなバッグの中には、たしかにらしき形状のモノが…
「…」
「ね♪」
もしかして、冬山に行こうと言えば、スキー板が出てきたり、サイクリングに行こうと言えば、自転車が出てくるかもしれない…
"ばちゃばちゃ"
「…」
"ばちゃばちゃ"
ほんに、お元気でございます…
「日焼けしますぞ?」
「日焼け止め塗った~♪」
あぁ、はいはい、確かにそんなモンが登山靴の横に鎮座してますよ(ついでに言えば虫除けも入っている)…
「ねーねー、入らないの?」
「生暖かい塩水に浸かれと?」
「真夏じゃないし、他に人もいないから、冷たいよ」
梅雨の晴れ間の照りつける太陽、湿度は高く、じっとしているだけでも汗が落ちてくる。
「おつきあいします…」
素足になり、波打ち際ではしゃぐこいつに近づく…
真上から注ぐ日差しは、自分の身長を忘れさせる位に影を短くする。
そして生暖かい塩水を思いっきり引っかけられた。
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