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No.524「SMOKED SOUND」

No.524[SMOKED SOUND] 「ねぇねぇ、どうかな?♪」
「…」
「ねぇってば…」
「…」
「こたえんかーいっ!」
"どげしっ"
「のおっ!」
いや、何かコメントしなきゃいけないコトは判ってたんだけど…
頭の中であれこれ交錯がありまして、自身を見失って…
「い…いいんじゃないかと…」
「あ、そう?良かった~♪」
満面の笑みで部屋の中を踊り狂う彩サンでした…
「狂ってなーいっ!」
"んごしゅ"
「のおっ!」
(こ、ココロを読むな、ココロをっ!)
「これ…音羽さんですよね?」
そこにもう1人の同居人が覗き込んできた。
「…」
今やこの部屋の本当の家主は誰なのか?
一時、色々あって部屋を長期間空けてしまった際、家賃の肩代わりをしてくれたのは彩サンだった…
それもそろそろペイになりそうなのに、アトリエと化した部屋が元に戻るには、まだかかる…いや、戻らないかも…
「だー…」
「泣く程感動してくれたかね♪」
「お好きにご解釈くだせぇ…」
「あぁ…私の感受性はまだまだだわっ!」
と…もう1人…元カンカン娘の亜紀美君が…
(彼女もまた、ここで創作活動を…つか、彩サンの助手…)
「この案で鐘野さんのOKも出てるし、音羽さんもお任せ貰ってるし♪」
「すごいですね、これが並ぶんですね♪」
スゴいですよ、羨ましいですよ…
宏美のジャケ担当になった彩サンが、新たに手がけているので、なんと音羽サンのジャケだった。
いつの間にかこのお方もアルバムを出すに至っていた。
しかも宏美やおーこしさんを使い、本人がリーダときたモンだ…
(ご自分の本業はどうされるんだか…)
心配したトコで、しょうがないのだけど…
「いーぢゃん、出せるんだから♪」
とか…一言で済まされそうである。
(そういう機会のカケラでも分けてくれんかね…)
「あらら…まだ泣いてくれてるの♪」
「竹中先生、号泣されてますよ?」
んなわけぢゃねえっ!ねえってコトにしてけろっ!
「しかし?」
「にゅ?」
「変わったアルバムタイトルだな…」
「は?」
「え?」
「ほら、スモークサーモンって…」
「…」
「…」
「…え?」
2人はアルファベットを指先で1文字ずつ確認しつつ…
最後は泣きそうな顔で俺を…
「魚屋に並べんなっ!」
"どごっ"
「のおっ!」
い…いつの間に背後にいますかっ!?音羽サンっ!?PREV >