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No.519「あれ?秋?」

No.519[あれ?秋?] 足元から伸びる自身の影が、この時間でも長くなる、昼時間が短くなってきた今日この頃…
気が付けばコンビニには冬の定番、おでんと肉まんがセットアップ完了済。
「自販機のコーヒーにも”あたたか~い”が登場するだろうか?」
などと考えつつ、買い物帰りの道を進んでいた。

秋…らしい…

実のところ、そういう事象やイベントは見えているものの、夏と秋の境目がはっきりしていない。
気が付いたら夏で、気が付いたら秋…
しかし、まだ近所の木々は緑の葉でいっぱい、黄色み始めてるのもあるけど…
ちきゅうおんだんかとか、関係してるのかもしれないが…夏の様な日もあれば、秋の様な日もあったりと、まだまだ微妙な日が続いている。
「なんかこのまま、冬を迎えそうだ…」
実際、あと1カ月もしない内に11月を迎えるのである。
ボジョレーワインの受付だって始ってるし、それが終わればクリスマスケーキの受付だ。

「す、すみません…」
「へ?」
公園を横切ろうとすると、後ろから声をかけられた。
「なんでしょ?」
1人の女の子…あぁ、そうだよ…秋の実感要素として、女性の服装というのもあったっけ…
「今何日でしょうか?」
「えーと…」
その問いかけに時計を…
「あれ?」
動作が一瞬止まった…
反射的に時刻を答えようとしてたようだが、質問の内容は…
「10月4日ですな」
時間を尋ねられるコトはよくあるものの、今日が何日か?という質問を受けた経験はほとんど無い。
「あぁ…やっぱり…」
その女の子は周囲をキョロキョロ見渡す。
「あぁ!こ、こんなに影が長いっ!」
「…」
「お、おでんが始まってるっ!」
「…」
「あ、ワインの予約が~っ!」
「…」
同じような季節感をお持ちのようである。
が、それらも徐々に進行するモノであって、昨日今日、突然変わったコトでは無いはず…
もしかして、ずっとお引き籠りでありましたか?
「あ…あの…」
「はいはい?」
「…しゅ、秋分の日は…?」
「2週間も前に…」
「…で、ですよね~っ!」
苦笑いというか、何と言うか複雑な表情…肉眼で確認出来そうな位の漫画サイズ汗が…
「…またやってしまいました…」
と、今度は肩をガックシ…
「どうかされましたかね?」
「…寝坊しました…」
「あい?」
長いコト眠り続けてたとかっ!?
だったら”何時”ではなく”何日”の質問も合点がいくが、わざわざ買い物帰りの野郎に尋ねる内容かい!?
「このままじゃ冬が来ちゃいます~!」
今度は目に涙を溜めながら笑っておられる。
「何かお困りでしょうか?」
とは言え、一連の話の流れでは、全く何も読み取れないのだが…
「急いで準備しますんで、そ、それじゃっ!」
「準備?」
そう言い残すと、その女の子は大急ぎで走り去って行った…
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