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No.473「one day afternoon」

No.473[one day afternoon] 暑かった日差しも和らぎ、吹き抜ける風に優しい涼しさを感じる…
「もう10月か…」
いつの間にか季節は秋、慌しい日々が過ぎ、ようやく落ち着こうとしていた頃…
「今年も…このままかなぁ…」
目の前のコーヒーは、この陽気とは逆になっていた。
「さめちゃった…ね」
「ん…あぁ…」
そういうこいつのカップの中も…
周囲にいた客は既に入れ替わっている。残ってるのは俺たちだけか…
「そろそろ紅葉もいい頃だね~」
「んー…そうだなぁ…」
「食べ物もおいしいし~」
「このところ、近くで簡単なモンばかりだったし…」
「で?」
「うん、どうするか…」
何も考えず、唐突に電車に乗ってここまで着てしまった。
ただなんとなく気が向いたから着てしまったが…こいつのコトをちゃんと考えてやってなかった…
「申し訳ございません…」
「ま、いっか…紅葉見れたし、おいしいものも食べられたし…」
「そう言って頂けると幸いです…」
深々と頭を下げる俺。
「で?」
「ん?あぁ、電車の時間は大丈夫だろうから…ゆっくり景色でも眺めながら帰るか?」
「えー!?」
「えー…って…?」
「せっかく着たのにー」
もちろん唐突ゆえ、宿に泊まるなんて考えてもいなかった。
「温泉行きたい♪」
「な、なにおー!?」
「温泉地だよ?ここまで着て入らずにお帰り?」
「この時期、お宿なんて空いてないぞ?」
「調べてみなきゃわかんないでしょ?とりあえず、このお店の人に聞いてみようよ」
と、そのまま聞きに向かってしまった…
「あぁ…フラっとしたかったのが、こんなタイヘンなコトに~…」
冷めたコーヒーを一気に飲み干し、そのままテーブルへ突っ伏す。
しばらくして帰ってきたあいつ…
「どうだ?ダメだったろ?」
「あるってさ♪」
「な、だから聞くだけ…え?」
「ちょっと先にある、このお店の姉妹店だって、キャンセルがあって空いてるってさ♪」
「ちょっと先ってどの位だ?」
「3km位だって」
「と、遠い!」
駅のほうが近いから…と、言おうとした時だった。店のドアが開き、この店の店主がこっちに向かって手を振っている。
「送ってくれるって」
「い、いつの間にそんな交渉をー!?」
「露天付き個室だってー♪わーい、わーい」
「わーい、わーい、じゃねぇ~」
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