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No.531「ガリ版少女」

No.531[ガリ版少女] 新学期も始まって間もなく…
今年1年、ここのとある科目の担当となっていた。
別に先生じゃないんだけど「その方面の識者」とゆーコトで、お話したり作業のお手伝いをしたりと…まぁ、そんなコトを…
年間のスケジュールについて、担当の先生との打ち合わせに来たんだが…
「…まだ戻って無いのかか…」
先生はホームルーム中、略してHR中…Lが付いてないのは救い…
そんなに時間のかかるコトでも無いし、職員室の入り口前で待つコトとした。

放課後となる校内、廊下を歩く先生や生徒の数も増えてくる。
「部活無い日は図書室直行だったっけなぁ…」
ふと、自分の学生時代を思い出していた。
実を言えばこの学校、俺の出身校だったりもする訳で、当時と変わったトコもあれば、そのまんまみたいなトコもあって、ただ突っ立ってても飽きなかったりして…

「どどどっ!」
その時、後ろからハミングが…
「どーっ!」
"どどーん"
付けるならティンパニーを叩き付けたような擬音だなぁ…と、思いながら、宙を舞う俺の体ともう1名の体…
「…いたい…」
仰向けになった俺の顔面に布のような紙のような、何か白いモノがかかって…
「くさい…って!生きとるわっ!!」
手ではね除け、周囲を確認すると、散乱した大量の紙の中に1人の女子生徒が…
「…」
「くさい…」
同じく顔面に紙がかかっていました…
「って、これ原稿じゃね?」
よく見れば散乱している紙は、コマ割りの施された、マサに漫画の原稿ではないか?
が…なんかちょっと違う気も…そしてこの臭いが…
「ぷは」
ようやく顔面の原稿を払い、しばらく周囲を見渡し…
「…あ…あぁ…」
焦ってるけど、慌ててはいないようだ…いや、事態が飲み込めてないだけか?
そしてようやく俺と目が合った。
「…えーと、すみません…」
「締切か?」
「…あ…あははは~」
うむ、昔俺も似たようなコトやった気がするよ…尤も人とはぶつからなかったけど…
「ぽん」
「え?」
すみません、擬音を口にしてました…
「いまどき…ガリ版印刷?」
そうだ、これは昔懐かしいガリ版印刷のインクの臭いじゃないか?
加えて、この違和感は紙の色だ、上質紙なんかじゃなくて、再生紙でもなく、いわゆるザラ紙と呼ばれるモノである。
「部の予算が…」
苦笑いしてるが、その汗は実社会に出た際までとっておきなさい(いっぱい流すようになるのだから)。
「1枚1枚ニードルで削ってか…ご苦労様だな…」
「そ…そんなに古くない…」
「はっ!」
「はっ!」
鉄板の上でニードルで削って版を作って…っていつの時代よ!?
俺ですら小学校の学級新聞以来だとゆーのに、それが判るって!?
「い…今は原稿転写出来るんだよね?」
「う、うん♪」
しかし、今時であれば、ガリ版で作る方が逆に高く付くんじゃないか?
手間とか時間なんかも考慮すれば、それは更に…コピーの方が仕上がりもキレイだろうに…
「コピーは使えないのか?」
「…てへ♪」
ペ○ちゃんのような顔して…
「…壊れてて…」
その表情から察すれば、壊れたんじゃなくて壊したんだろうなぁ…
とは言え、コンビニとかに行けばいいような気もするけど…
「…昔テイストを出してみたいなぁ~…みたいな…」
「昔テイスト?」
「部が出来た頃の会誌は、ガリ版だったと聞いてたので…」
「…あー…うん、確かにそうですよ…」
「え?」
「俺らがそうだった」
「…え?じゃ…その…」
「ここの漫研の初代部長だ」
「…」
しばらく沈黙され…
「えーっ!?」
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