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No.528「Green Street」

No.528[Green Street] "ぢぢぢぢ…"
「…あづい…」
梅雨も明け、ようやくあの蒸し暑さから解放されるかと思ってたが…
"ぢぢぢぢ…"
「だから、あづいんだってば…」
耳障りな音が響く…
「梅雨が明けた証拠だね~♪」
「知るかっ!」
聞くところによれば、梅雨が明けると蝉が鳴き始める…これは地面の温度が梅雨明けによって暖かくなりはじめ、それで…えーと…
「だーっ!」
「わ、びっくりしたっ!」
「暑さを助長するコトに違いはねぇっ!」
鳴き始めが梅雨の前だろうと後だろうと、早まろうが遅れようが、暑さの代名詞であるコトに変わりはないっ!
「…」
「あれ?静かになっちゃった…?」
一瞬、梅雨のまっただ中に蝉が鳴いている場面を想像してしまった…
「…限界を超えた…」
「涼しそうな顔になったね♪」
青ざめたと言ってくれ…いや、それで涼しくなるのなら、何度でも青ざめたい…
それでなくても節電の夏、家にいれば扇風機の前で宇宙人ごっこに興じているであろう。
実際、興じていたら、こいつがやってきて、涙を流しながらも、この場所へ俺を連行…
(泣くコトないだろ?吹き出しながら…)

「ほらほら、涼しいでしょ~♪」
都会に残された渓谷、ここだけ周囲とは気温が2度位違うとかで…
ここに来るまでの間は、炎天下に晒されたアイスのように発汗させられていたが、それも今では引いていて…
"ぢぢぢぢ…"
「2度下がって3度上がるわっ!」
「わ、びっくりしたっ!」
それにここで涼んでも、同じ距離と時間をかけて帰るコトを考えれば…
「…」
「あれ?泣いてる?」
堪忍して…

「それはそうと…」
「なにかな?」
「入っちゃっていい訳?川の中に…?」
川なのかは知らんけど…
「ほらほら…」
って、指差した先には、同じく川の中に入る数名…
「お子様ぢゃねーかっ!!」
「一緒、一緒♪」
そして川の中から顔を出している岩の上をぴょんぴょんと…
「小さい子の方がお利口さんだな…」
「え?」
「スカート濡らさないように、ちゃんと中に入れてだな…」
「…」
「はっ!」

木漏れ日の逆光が、ニコニコ笑っているこいつの顔を一瞬見えなくした…
"ぶわしゃーっ!!"
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