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No.450「音の精」

No.450[音の精] 敬「…留奈…」
ゆっくりと俺の目の前に現れた留奈。
留奈「こんばんわ、敬さん」
敬「…」
留奈「おーい」
敬「…」
留奈「返事ないんですけどぉ~…」
敬「…」
留奈「き、聞こえてないのかな…」
敬「…」
なんか、前にもこんなやりとりをしたような覚えがあるな…
留奈「はうー…」
敬「…よぉ」
留奈「あ、聞こえてる…」
別に今回はアドリブを待ってた訳じゃないからな…
(それ以上のコトを見せ付けられてるんだから…)
敬「…久しぶりだな」
留奈「しばらく離れてましたから…」
心なしか、最後に会った頃よりも、元気そうで血色もよく見える。
足が地に着いてないコトを除けば…
俺はずっと気になっていた。
確かに今、目の前にいるのは渡瀬留奈本人…だろう、少なくとも知らない別人には見えない。
じゃ、あそこで眠っている留奈は…同一人物なのだろうか?
敬「君は一体誰なんだ?」
留奈「え?私ですか?」
いつもと同じような、ちょっととぼけた感じ…
留奈「イヤだなぁ…何言ってるんですか~」
こんな調子に笑っている姿も、応対の仕方も…本人な気もする…
尤も本当の本人の元々の性格は知らないが…
敬「…1つだけ教えてくれるか?」
留奈「はい、何ですか?」
敬「あそこで眠っている留奈と君は同一人物?」
全くもって芸の無い、直球な聞き方であった。
留奈「私は渡瀬留奈ですよ…」
敬「…」
留奈「…そしてあの子も」
敬「えっ?」
"あの子も"…って、どういう意味だ?
留奈「実は黙ってあそこから抜け出してきてるんです…」
敬「そりゃウソだ」
そんな容態で無い事は見て知っている。
留奈「え~…」
敬「えー、じゃない、そもそも…」
留奈「そもそも?」
敬「おまえ浮かんでるじゃないか」
右に左に下を向きながら、自分の足位置を確認している。
敬「おまけに光ってるぞ?」
手の先、足の先をピコピコ伸ばしながら自分の目で確認しなさる…
客観的に見ると、少々怖い仕草だぞ?それ…
留奈「いりゅーじょん?」
敬「…」
留奈「てへっ♪」
見事なボケっぷりじゃないか…
(しかも"てへっ♪"付きすか?)
留奈「あれ?」
敬「この室内にそんな仕掛けを施せる余裕は無い」
留奈「じゃ、私は誰だろう?」
自分で首を傾げてらしゃいますか…
その問いに俺が答えられる訳なかろう、判らないから聞いているんだ。
留奈「でも…」
留奈が続ける。
留奈「気づいてるんですよね、だから…」
俺が吹いていたテナーに目をやる…

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